「新築は利益の先食い」とか、
「新築は業者の利益がたっぷりのっているからダメだ」とか
いろいろ言われています。
それに関してコメントします。
まずは、「新築は利益の先食い」という事に関して
簡単な収支のシミュレーションを作ってみました。
あくまでも一例の数値です。
前回、似たようなトピックをした際のパラメータをそのまま使いました。
<抜粋>
1億円の新築木造アパートを購入
新築時は、表面利回り8%で計算
家賃は年間1%づつ下落
キャップレートは、年間0.1ポイント(%)ずつ上昇
そこから収益還元で計算できる想定物件価格を算出
今回加えた数値として、
30年で金利2%のフルローンの融資を引く。
収入に対して25%の経費を引き算。
計算の簡単のため、金利と元本の返済比率は15年目の割合を固定で使用。
土地と建物費は50%ー50%で計算。
税引き後のCFを計算して、それを累積CFとして算出しました。
計算結果は以下です。
累積CFというのは、税引き後のCFの累積です。
残債は、フルローンで引いた1億円を計算を簡素化のために、毎年一律の返済があるとして減額したものです。30年で返済が完了します。
売却益は、収益還元価格から残債を引いた数値です。
売却益+累積CFは、そのままです。
全体的に、ざっくりとした傾向を把握するために計算がややこしい所は、簡素化して計算しています。
物件の価格も、下がり方は一例ですが、40年後に土地値くらいになるという感じにしています。
当然のことながら、40年でどんどん価格は下がります。
累積CFは、融資条件で大きく変わるところです。
フルローンだと、税引き後のCFは、かなり小さい数値になります。
それの累積したとしても図のような傾向です。
23年目以降、減価償却が切れると税引き後のCFはマイナスになる計算になってます。(このSIMでは)
一方、ローン返済が終わると、CFは大幅に増えるという事です。
いずれにせよ、融資条件におおきくよるところはありますが、累積の税引き後のCFは、こんな感じだと思います。
「新築は利益の先食いか?」ですが、
物件の価格は、どんどん下がります。
このSIMでは、10年後で2000万円さがっています。
一方、10年後の累積CFは、600万円です。
物件の価格が2000万円減っているのに、累積CFは600万円という事になります。
おそらく、「新築が利益の先食いだ」と言って人は、この事実の事を言っていると思います。
物件の価値をCFに変換しているだけという考えです。
しかし、これがすべてではありません。
残債がどんどん減っている事があるのです。
累積CFでは600万円くらいしかないのですが、
残債が10年間で3000万円減っているというところが肝です。
10年間で、物件の価値は2000万円減っているが、
ローンが、3000万円減っている(3000万円儲かっている)という事と、
CFが600万円獲得できているという事です。
10年目で売却すると、
売却益で、3000万円ー2000万円=1000万円獲得できるとともに、
CFが600万円ある。
つまり、合計で1600万円プラスになるという事です。
だから、「新築は利益の先食いか」と言われると、
たしかに、物件の価格下落分をCFとして獲得している側面はあるが、
ローンの返済を進んでいるので、物件の価格下落以上に儲ける事はできるという事です。
物件価格は落ちるが、それ以上に儲かるよという話です。
もちろん、物件によるところはありますが。