『BSを改善するために土地値物件を買う』という通説がありますよね。
最近、複数の金融機関とヒアリングをするなかで自分の中で疑問が出てくるようになってきていたのですが、先日いろんな専門家の方とディスカッションをする中で私は一つの結論に到着しました。
「2020年12月版の私の結論」という言い方かもしれません。これからいろんな経験や知見を得てく中で違う結論に遷移していく事も十分にありあえると思います。
もちろん、他の人は他の人の結論を持っているかもしれません。
『BSを改善するために土地値物件を買う』という事が有効なのかどうか。
結論から言うと、有効なケースと逆に足かせになるケースがあって、それは1棟目ですべてが決まると思います。
1棟目でりそな銀行や千葉銀行といった収益還元系の銀行で融資を引いた場合は、その人は基本的に収益還元系の銀行ラインで融資を引き続けていく事になります。そして耐用年数超えの土地値物件は収益還元系の銀行ではマイナス査定です。ですのでこの系統の人は耐用年数超えの土地物件は買ってはいけません。また収益還元評価が高い新築は積算は低いのですがプラス査定になるので、収益還元評価の高い新築ばっかり買っていくというのが融資が得やすく規模を増やしやすい戦略になります。
1棟目で静岡銀行やトラストといった積算系の銀行で融資を引いた場合は、その人は基本的に積算系の銀行ラインで融資を引き続ける事になります。そして耐用年数越えの土地値物件は積算系の銀行ではプラス査定です。ですのでこのグループの人は土地値物件は買っていくべきです。また積算の低い新築はマイナスになります。ですのでこのルートに人は積算が低い新築を買うのは難しく、積算の高いものばかりを買っていくというのが融資が得やすく規模を増やしやすい戦略になります。
それぞれの系統を行き来するのは難しいです。それぞれ一方の評価が出やすいものはもう一方では評価が出にくい構造になっています。
金融資産を十分にもっている人であれば、積算系から収益還元系にルートチェンジはできるのかもしれません。
最初に、静岡銀行で積算は高いけど耐用年数がいってる物件を買ってしまうと、2棟目でもしも収益還元の銀行を目指す場合に静岡銀行では高評価だったた耐用年数超えの高積算物件は逆にマイナス査定になってしまい足かせになります。その結果、以降は高積算系の銀行でしか買いにくくなります。仮にどこかの銀行で新築を買えたとしても新築は低積算なので、積算系の銀行では債務超過してしまうという事ですね。(バランスシート改善で土地値物件買おう!となる)
もう一つ思った事は、積算系と収益還元系の両方を欲張りで伸ばそうとして、収益性の高い物件と耐用年数超えの土地値物件をバランス的に買うという事は、(収益還元系の人にとっては)実は一番中途半端でどっちつかずになってしまう事なんじゃないかなっていう事です。
基本的に、積算系銀行ラインと収益還元系ラインは、行き来するのは非常に難しいです。行き来するためには非常に大きな資産がないと難しいです。まさしく最初の1棟目をどちらで買うのかというので不動産投資の運命・方向性が決まるようなものなのかなと思いました。
さらに加えて言うと、
収益還元系の銀行を使える人は、属性が高かったり資産をたくさん持っている人に限られてしまいます。資産をあまり持っていない人はどうしても積算系の銀行から不動産投資に入る事が多いです。
収益還元の銀行の方が融資条件はいいことがおおいと思います。フルローンが出やすかったりします。一方で、フルローンが出やすい反面、自己資本比率というのは厳しい目で求められる傾向があります。
<結論>
(耐用年数超えの)土地値物件でBS改善を行う事について。
積算系の銀行を使っている人は有効だが、収益還元系の銀行を使っている人は買わない方がいい。
積算系の銀行を使っていくのか、収益還元系の銀行を使っていくのかは、1棟目でどっちの銀行を使うかで決まってしまう傾向がある。